バウンスボールの作り方|After Effectsで回転して跳ねるアニメを動画どおりに再現する6つの手順

ボールが弾むだけのアニメーションでも、ちょっとした工夫で「生きているキャラクター」に見えてきます。
この記事では、mooographさんのAfter Effectsチュートリアル「回転するバウンスボール」を、動画の手順と数値どおりに再現しました。
着地でつぶれ、トランポリンの板がしなり、顔がくるっと前に回るボールです。
キーフレームを打つフレームと値は、すべて表にしてのせています。
操作画面には番号つきの枠を入れたので、上から順にまねすれば同じ動きになります。
今回は、オレンジの玉がトランポリンで跳ねます。
2Dの絵なのに、顔が3Dのように回るのが見どころです。
この記事でわかること
- ボールを弾ませる基本になる、位置Yのキーフレームと「速度の影響80%」の考え方。
- 着地でつぶれて、跳ねるときに伸びる、スケールの数値の決め方。
- トランポリンの板を、パスのキーフレームでしならせる方法。
- トラックマットと複製だけで、平面の顔を3Dのように回して見せる方法。
29フレームの動きを、くり返しつなげています。
お手本の動画と、この記事の進め方
お手本は、mooographさんのYouTube動画「回転するバウンスボール【After Effects チュートリアル】」です。
11分ほどの動画で、素材の準備から完成まで、1つずつ手順を見せてくれます。
今回は「動画に忠実に」を決まりにしました。
キーフレームを打つフレーム、スケールの数値、速度の影響80%は、動画で話されている値をそのまま使っています。
動画で「これぐらい」とだけ言われている位置や板の曲がり具合は、完成した動画の画面からピクセルを測って合わせました。
| 項目 | この記事の設定 |
|---|---|
| コンポジション | 1920×1080、30fps、長さ29フレーム(くり返し用) |
| 素材 | Illustratorで描いた「顔」「体」「板」の3レイヤー |
| 色 | 背景 #DDEBB2、体 #FE7343、板 #6FB934、くちばし #FFF476 |
| ボールの大きさ | 直径340px |
素材の絵は、動画の画面から色と大きさを測って、Illustratorで描き直しました。
After Effectsの操作は、筆者がAI(Claude)に頼み、スクリプトという命令の文章で動画の手順どおりに組んでもらいました。
この記事の画面は、筆者のMacのAfter Effects 2026で撮ったものです。
先に覚えておきたい、6つのことば
| ことば | 意味 |
|---|---|
| アンカーポイント | レイヤーの「中心」です。 拡大縮小や回転は、この点を基準に動きます。 |
| 次元に分割 | 位置を、X(横)とY(縦)の2つに分ける設定です。 縦だけにキーフレームを打てるようになります。 |
| キーフレーム速度 | キーフレームの前後の加速を決める画面です。 「影響」を大きくすると、ゆっくり動き出して、ゆっくり止まります。 |
| トラックマット | 上のレイヤーの形で、下のレイヤーを切り抜く設定です。 今回は顔を、体の形の中だけに見せます。 |
| 親とリンク | あるレイヤーを、別のレイヤーにくっつけて一緒に動かす設定です。 |
| ガイドレイヤー | 作業の目印にするレイヤーです。 書き出しには映りません。 |
作る順番は、6つの手順です
- 素材をセッティングする。
- ボールを弾ませる(位置Y)。
- 体を伸び縮みさせる(スケール)。
- 板をシェイプレイヤーに変えて、ガイドを作る。
- 板をしならせる(パス)。
- 顔を回転させる(顔とマスクの複製)。
手順1:素材をセッティングする
Illustratorで「顔」「体」「板」の3つのレイヤーに分けて描いたファイルを、After Effectsに「コンポジション – レイヤーサイズを維持」で読みこみます。
最初に、体のアンカーポイントを、体の真ん中の一番下に移します。
着地したときに、地面に接したところを基準につぶれるようにするためです。
上から、マスク、顔、体、板の順です。
②体のアンカーポイントは、体の一番下に置きます。
③「親とリンク」で、顔とマスクを体にくっつけます。
次に、体のレイヤーを複製して、顔のすぐ上に置き、名前を「マスク」にします。
顔のトラックマットに「マスク」を選び、アルファマットにします。
これで顔は、体の丸の中にだけ見えるようになります。
最後に、顔とマスクの両方を、体に親子付けします。
あとで顔を体の外へ動かすと、ちゃんと消えて見えます。
手順2:ボールを弾ませる(位置Y)
体のレイヤーを選んで P キーで位置を開きます。
縦だけ動かしたいので、位置を右クリックして「次元に分割」を選び、X位置とY位置に分けます。
Y位置に、次の4つのキーフレームを打ちます。
| フレーム | Y位置 | 動き |
|---|---|---|
| 0 | 401 | いちばん高いところ |
| 14 | 920 | 板に着地する |
| 15 | 958 | 板を押しこむ |
| 29 | 401 | 0フレームのコピー(最高点に戻る) |
14と15のY位置は、手順5で板をしならせたあとに、ボールが板の線の真ん中に来るよう調整した値です。
落ちる時間と上がる時間を同じ14フレームにすると、自然なくり返しになります。
最初と最後のキーフレームを選んで F9 でイージーイーズをかけます。
さらに右クリックの「キーフレーム速度」を開き、影響を80%にします。
いちばん高いところでふわっと止まり、落ちるにつれて速くなる、弾むボールらしい動きになります。
②14フレームと15フレームのキーフレーム。
着地と押しこみです。
③14フレームのY位置は920、スケールは80%と120%です。
手順3:体を伸び縮みさせる(スケール)
S キーでスケールを開き、縦横のリンク(くさりのマーク)を外します。
伸び縮みは「横を減らした分だけ、縦を増やす」が決まりです。
横が80%なら縦は120%、横が130%なら縦は70%のように、足して200%になるように打ちます。
| フレーム | スケール(横 / 縦) | 動き |
|---|---|---|
| 0 | 100% / 100% | 最高点では丸いまま |
| 7 | 90% / 110% | 落ちながら少し縦に伸びる |
| 14 | 80% / 120% | 着地の直前、いちばん縦に伸びる |
| 15 | 130% / 70% | 着地の瞬間、一気につぶれる |
| 18 | 90% / 110% | 跳ね上がるときに、早めに縦へ伸びる |
| 29 | 100% / 100% | 0フレームのコピー |
最初と最後のキーフレームには、位置と同じくイージーイーズをかけ、キーフレーム速度の影響を80%にします。
7と18は、動画では「滞空中も少し伸び縮みさせる」として、あとから足しているキーフレームです。
18は7のキーフレームをコピーしています。
着地から上がるときに、少し早めに縦へ伸ばすと、キャラクターが生きている感じが出ます。
これを守ると、体の大きさ(体積)が変わらずに見えます。
手順4:板をシェイプレイヤーに変えて、ガイドを作る
板はIllustratorの線のままだと、形を動かせません。
板のレイヤーを右クリックして「作成」から「ベクターレイヤーからシェイプを作成」を選びます。
線で描いた絵は、線のままシェイプレイヤーに変わります。
元のベクターレイヤーは使わないので、消しておきます。
さらに、シェイプにした板を複製して、キーフレームを消し、右クリックで「ガイドレイヤー」にします。
不透明度を50%にすると、元の位置の目印として薄く見えます。
ガイドレイヤーは書き出しに映らないので、つけたままで大丈夫です。
手順5:板をしならせる(パス)
シェイプレイヤーの中の「コンテンツ」から「グループ」の「パス」を開き、2フレームずつキーフレームを打っていきます。
ベジェ曲線のハンドルが出ていないときは、ペンツールの「頂点を切り替え」で曲線にしておきます。
| フレーム | 板の形 | まん中の曲がり |
|---|---|---|
| 0 | まっすぐ | 0px |
| 13 | まっすぐ(0フレームのコピー) | 0px |
| 14 | 少しだけ下に曲げる | 約48px |
| 15 | 思い切り下に曲げる | 約98px |
| 17 | 上に反らせて、ボールを押し出す | 約86px上 |
| 19 | 下に(14フレームのコピー) | 約38px |
| 21 | 上に(17より小さく) | 約46px上 |
| 23 | 下に(19より小さく) | 約22px |
| 25 | ほんの少し上に | 約12px上 |
| 27 | まっすぐ(0フレームのコピー) | 0px |
上下に揺れる幅を、少しずつ小さくしていくのがコツです。
トランポリンの板が、ボールを送り出したあとも、しばらくぶるぶる揺れて止まります。
キーフレームを細かく打つほど、自然でなめらかになります。
②パスのキーフレーム。
13フレームから27フレームまで、2フレームおきに並びます。
③15フレームで、板が思い切り下に曲がっています。
手順6:顔を回転させる(顔とマスクの複製)
最後に、顔を前へくるっと回します。
3Dの機能は使いません。
顔を体の下へ送って隠し、上からもう1つの顔を出すだけで、回っているように見せます。
- 顔のレイヤーで P キーを押し、0フレームに位置のキーフレームを打ちます。
- 2つ目のキーフレームで、顔を体の外まで下に下げます。
手順1のマスクのおかげで、顔は見えなくなります。 - 2つ目のキーフレームを、2フレームほど前(12フレーム)にずらします。
着地の直前に回り終わるので、顔を板にぶつけずにすみます。 - 1つ目のキーフレームの速度の影響を80%にします。
- 顔とマスクのレイヤーを選んで Command + D で複製します。
- 複製した顔は、後ろのキーフレームを消し、残ったキーフレームを29フレーム(最後)に動かします。
- 15フレームに、顔を体の上の外まで上げたキーフレームを打ちます。
- 15フレームのキーフレームを Command を押しながらクリックして、リニアにします。
- 最後のキーフレームの速度の影響を80%にします。
②顔 2は15フレームで上から出てきます。
③元の顔は12フレームで下に消えます。
④17フレームでは、体の上から顔が出てきたところです。
下に消えた顔と入れかわりに、上から顔が出てくるので、玉が前へ1回転したように見えます。
平らな絵のまま3Dのように見せるこのやり方は、もっと複雑なキャラクターの頭を回すときにも使えます。
「下に消えて、上から出る」だけで、回って見えるのがおもしろいところです。
できあがりを、1コマずつ見てみましょう
完成したボールを、1コマずつ並べました。
体の伸び縮み、板のしなり、顔の入れかわりに注目してください。
12フレームで消えた顔が、17フレームで上から出てきます。
お手本の動画と同じフレームで、ボールの位置を比べました。
16フレームと17フレームのボールの下の位置は、お手本との差が数ピクセルでした。
顔が上から戻ってくる途中(18フレームあたり)だけは、お手本より顔が少し下に見えます。
15フレームで顔を上げる量を、動画の説明どおり「体から見えなくなる位置」にしたためです。
バウンスボールを生き生きと見せる3つのコツ
- 最高点は、ゆっくり止める。
最初と最後のキーフレームの影響を80%にすると、重さが伝わります。 - 伸び縮みは、横と縦で足して200%。
着地の直前に縦へ伸ばし、着地でつぶすと、弾む力が見えます。 - 受け止める側も動かす。
板がしなって揺れるだけで、ボールの重さがぐっと伝わります。
うまくいかないときは、ここを見てください
| 困ったこと | 見るところ |
|---|---|
| つぶれたときに、体が浮いたり沈んだりする | 体のアンカーポイントが、体の一番下にあるか確認します。 |
| 顔が体の外にはみ出して見える | 顔のトラックマットが「マスク」のアルファマットになっているか確認します。 マスクも体に親子付けされている必要があります。 |
| 「ベクターレイヤーからシェイプを作成」が押せない | Illustratorから読みこんだレイヤーを選んでいるか確認します。 平面やシェイプレイヤーでは選べません。 |
| 板のパスにハンドルが出ない | ペンツールの「頂点を切り替え」で、両はしの点をドラッグして曲線にします。 |
| ショートカットが効かない | 日本語入力がオンだと、P や S が文字として入ってしまいます。 英数入力に切りかえてから押してください。 |
よくある質問
Q. Illustratorがなくても作れますか?
作れます。
体と顔はAfter Effectsの楕円で、板はペンツールの線で描けば同じです。
その場合、手順4の「ベクターレイヤーからシェイプを作成」は不要です。
Q. なぜ長さが29フレームなのですか?
0フレームと29フレームを同じ形にして、つなぎ目なくくり返すためです。
30fpsなので、1回の弾みは約1秒です。
Q. キーフレーム速度の「影響80%」はどこで設定しますか?
キーフレームを右クリックして「キーフレーム速度」を開きます。
入る速度と出る速度の「影響」の欄に、80を入れます。
Q. 3Dレイヤーを使わずに、なぜ回って見えるのですか?
顔が下に消えたあと、上から別の顔が出てくるからです。
人の目は、それを「前へ回った」と受け取ります。
まとめ
回転するバウンスボールは、位置Y・スケール・板のパス・顔の複製の4つで作れます。
どれも、After Effectsに最初から入っている機能だけです。
この記事のおさらい
- 体のアンカーポイントは一番下にして、位置Yを0・14・15・29フレームに打つ。
- 最初と最後のキーフレームは、イージーイーズと速度の影響80%。
- スケールは横と縦で足して200%になるように伸び縮みさせる。
- 板はシェイプレイヤーに変えて、2フレームおきにしならせる。
- 顔とマスクを複製して、下に消して上から出すと、回って見える。
まずは手順2と手順3だけ、位置Yとスケールで弾ませてみてください。
それだけでも、ただの丸がキャラクターらしく見えてきます。
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参考:mooograph「回転するバウンスボール【After Effects チュートリアル】」(YouTube)。
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