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「上司と合わない」がつらい人へ|元管理職がアドラー心理学で整理した、明日やる1つ【図解8点】

「上司と合わない」がつらい人へ|元管理職がアドラー心理学で整理した、明日やる1つ【図解8点】
河合義寛(YoshihiroK)
この記事には広告・アフィリエイトリンクを含みます。

上司と合わない。

話すたびに疲れる。

仕事そのものより、上司との関係のほうがしんどい。

この記事は、そう感じている人に向けて書いています。

自分は医療機器の営業で管理職を経験し、そのときにアドラー心理学を学んで、チームの運営に使ってきました。

そして今は、当時の自分と真逆のタイプの上司のもとで働いています。

つまり、アドラー流の上司をやろうとした側と、合わない上司の下にいる側の両方を経験しています。

この記事では、小倉広さんの『もしアドラーが上司だったら』を手がかりにします。

本書のアドラー心理学の4つの考え方を整理し、自分が管理職のときに実際にやっていたことを具体例で書きます。

そのうえで、合わない上司の下にいる人が、明日から自分の側で使える形に置き換えます。

図解は8点、Audible版の章ごとの収録時間の実測も入れています。

この記事で分かること

相性の悪い上司のもとで、どこまでが自分の課題で、どこからが上司の課題か

アドラー心理学の4つの考え方を、職場でどう使うか(元管理職の実例つき)

合わない上司の下で、明日やる1つ

上司と合わないと感じながらパソコンのメールを読む会社員
上司からの連絡を開くたびに、気持ちが重くなる。
メニュー
  1. 結論:上司と合わないとき、手を入れるのは自分の側だけ
  2. 『もしアドラーが上司だったら』はどんな本か
  3. 課題の分離:本人がやることと、上司が支えることを分ける
  4. 褒めない・叱らない:評価の言葉より、貢献と改善点を具体的に伝える
  5. 目的論:過去を責めるより、次に目指す状態と行動を一緒に考える
  6. 共同体感覚:「自分もこのチームの役に立っている」と実感できるようにする
  7. 管理職のときに学んだことと、今の職場で使っていること
  8. 4つの考え方の早見表:管理職の使い方と、部下の側での使い方
  9. タイプ別:合わない上司の下で、自分の課題になること
  10. アドラー心理学を職場で使うときの3つの落とし穴
  11. 上司と合わない職場で、明日やる1つ
  12. Audible版の章立てと収録時間(実測)
  13. 書籍情報とAudible版
  14. よくある質問
  15. まとめ
  16. この記事の写真と図解について(Adobe Stock)
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結論:上司と合わないとき、手を入れるのは自分の側だけ

上司と合わないとき、いちばん消耗するのは「上司に変わってほしい」と願い続けることです。

言い方を変えてほしい。

もう少し見ていてほしい。

責任を押し付けないでほしい。

どれも当然の願いです。

ただ、上司の言動を最終的に決めるのは上司です。

ここに力を注ぐほど、自分の手元には何も残りません。

上司と合わないとき、手を入れる場所は片方だけ上司の課題自分の課題言い方・態度仕事の範囲の確認任せ方・放任分担と期限の書き出し評価のしかた相談するタイミング性格・価値観同僚への関わり方変えられない(相手が決める)明日から変えられる課題の分離:その結果を最終的に引き受けるのは誰か、で線を引く
上司の課題と自分の課題を分けた図。手を入れるのは右側だけ。

アドラー心理学では、これを「課題の分離」と呼びます。

その結果を最終的に引き受けるのは誰か、で線を引く考え方です。

上司の態度や評価のしかたは、上司の課題です。

一方で、仕事の範囲を確認すること、分担と期限を書き出すこと、同僚への関わり方は、自分の課題です。

ここなら明日から変えられます。

この記事の結論

上司と合わないときは、上司を変えようとするのをやめて、自分の課題の範囲だけに手を入れる。

具体的には、仕事を1件選び「誰が・何を・いつまでに」を書いて、上司に確認を送る。

『もしアドラーが上司だったら』はどんな本か

本書は、アドラー心理学を職場で使うための本です。

ただし解説書ではなく、小説の形をとっています。

版元の紹介文によると、営業成績がふるわない営業マンのリョウが、上司のドラさんから出される12の宿題に取り組んでいく物語です。

宿題をこなすうちに、仕事が楽しくなり、結果も出るようになっていきます。

紹介文には、もうひとつ気になる一文があります。

『嫌われる勇気』を読んで実践した結果、かえって職場で嫌われる人が増えている、という指摘です。

アドラー心理学を職場に当てはめるにはコツがある、というのが本書の立ち位置です。

考え方を知っていることと、目の前の相手にかける言葉に落とせることは、別の技術だからです。

章立てを見ると、この本が誰の悩みから始まるかがよく分かります。

第一章は「自分を追い込んでも、やる気が続かないんです」。

第九章は「自分の意見だけでなく、存在までも否定された……」。

最終章は「課長なのに、頑張らなくてもいいの?」です。

上司との関係がつらい、職場の人間関係がしんどい、という部下の側の声から始まり、最後は上司の側に立つところまで進みます。

本書で学べるアドラーの4つの考え方1 課題の分離誰の課題かで線を引く本人がやること支える人がやること2 褒めない・叱らない評価ではなく貢献を伝える感謝を具体的に言葉にする改善点も具体的に伝える3 目的論過去の原因より次の目的「なぜ」で終わらせない次にどうするかを決める4 共同体感覚役に立っている実感自己受容と他者信頼他者貢献
本書で学べるアドラー心理学の4つの考え方。

アドラー心理学の考え方は多いですが、職場で使う場面に絞ると、この4つに集約できます。

次の章から、1つずつ見ていきます。

それぞれ、自分が管理職のときに実際にやっていたことを例として書きます。

ホワイトボードの前で話し合うチーム。上司と合わない職場でも役割を分ける場面
役割を分けて書き出すだけで、話し合いの中身が変わる。

課題の分離:本人がやることと、上司が支えることを分ける

1つ目は課題の分離です。

アドラー心理学の中でも、上司と合わない人にいちばん効く考え方だと思います。

ここからは、自分が管理職のときにどう使っていたかを書きます。

自分が管理職だったら:「もっと頑張れ」ではなく「どこを支援すれば動けるか」を考える

例えば、新規の病院への営業が進まず、売上目標を達成できていない部下がいたとします。

自分なら、最初から「やる気が足りない」「訪問件数を増やせ」と決めつけず、どこで困っているのかを聞きます。

「今、どの段階で止まっている?」

「担当者に会えないのか、説明はできても次の商談につながらないのか、一緒に整理しよう」

そのうえで、本人が取り組むことと、自分が支援することを明確にします。

例えば、チームメンバーは「訪問先を選び、アポイントを取り、商談後に振り返る」。

自分は「提案資料を一緒に整え、必要に応じて同行し、相談できる時間をつくる」という分担です。

「次にどの病院へ、どんな目的で訪問するか、まずあなたの考えを聞かせてほしい」

「説明に不安があるなら、訪問前に役割分担を打ち合わせよう」

経験の浅い部下には具体的な手順まで支援し、経験のある部下には任せる範囲を広げます。

ただし、任せたままにはせず、「誰が、何を、いつまでにするか」を決め、進捗を一緒に確認します。

成果が出なければ、本人の行動だけでなく、目標の妥当性や業務量、自分の支援が足りていたかも見直します。

ポイント:行動するのは本人。

でも、行動しやすい環境をつくるのは自分の仕事。

本人の意思は尊重しながら、育成とチームの成果に対する責任は手放さない。

例:新規の病院営業が進まないメンバーの場合本人が取り組むこと上司が支援すること訪問先を選ぶ提案資料を一緒に整えるアポイントを取る必要に応じて同行する商談後に振り返る相談できる時間をつくる決めておくこと:誰が・何を・いつまでに経験が浅い人には手順まで支え、経験がある人には任せる範囲を広げる
課題の分離の例。本人が取り組むことと、上司が支援することを分けて書く。

部下の側から見た「課題の分離」

ここで、立場を部下の側に移します。

相性の悪い上司の職場では、この分担の線が引かれていないことがほとんどです。

任せきりで、何をどこまでやればいいのかが決まらない。

うまくいかなかったときだけ、責任が下りてくる。

こういう上司を変えることはできません。

ただ、線を引く作業そのものは、部下の側からでも始められます。

やることは、頼まれた仕事について「誰が・何を・いつまでに」を自分で書き出し、上司に確認を送ることです。

上司がそれに丁寧に応えるかどうかは、上司の課題です。

書いて確認したかどうかは、自分の課題です。

返事がなくても、自分がどこまでを引き受けたかの記録は手元に残ります。

褒めない・叱らない:評価の言葉より、貢献と改善点を具体的に伝える

2つ目は、褒めない・叱らないです。

褒めることも叱ることも、上から下への評価だから避ける、という考え方です。

かわりに使うのが、相手の行動が誰の役に立ったかを伝える言葉です。

アドラー心理学では、これを「勇気づけ」と呼びます。

自分が管理職だったら:「優秀だね」で終わらせず、「何が、誰の役に立ったか」を伝える

例えば、部下が病院の勉強会に向けて、看護師さんの困りごとを事前に聞き取り、その内容に合わせた資料を準備したとします。

まだ受注にはつながっていなくても、その行動(過程)を見過ごさず、感謝を伝えます。

「事前に看護師さんの困りごとを確認してくれたおかげで、商品説明だけではなく、現場の課題に合った勉強会にできた」

「お客さんに良い情報提供と提案をしてくれたことに感謝している」

本人の行動と、それによって生まれた貢献を言葉にします。

一方、叱らないからといって、ミスや改善点を曖昧にはしません。

例えば、提案資料に確認不足の数値が入っていた場合は、感情的に責めるのではなく、事実と必要な対応を伝えます。

「この数値は、確認した資料と一致していない」

「このままお客様に渡すことはできないので、根拠(エビデンス、第三者の引用)を確認して修正してほしい」

「何度言ったら分かるんだ」と人格を否定するのではなく、「何が問題で、どう直すか」を明確にします。

必要に応じて、自分の説明や確認の仕方も見直します。

ポイント:感謝は具体的に伝える。

改善点も具体的に伝える。

役職上の責任は違っても、一人の人として対等に向き合う。

評価する言葉と、貢献を伝える言葉評価する言葉(避ける)貢献と改善を伝える言葉うまくいったときうまくいったとき「優秀だね」「何が、誰の役に立ったか」ミスがあったときミスがあったとき「何度言ったら分かるんだ」「何が問題で、どう直すか」役職の責任は違っても、一人の人として対等に向き合う
評価する言葉と、貢献や改善点を伝える言葉の比較。
会議室で同僚に資料を説明する上司。上司と合わない関係を変える言葉のかけ方
「優秀だね」より、「何が役に立ったか」のほうが相手に残る。

部下の側から見た「褒めない・叱らない」

合わない上司のもとでは、「何度言ったら分かるんだ」という種類の言葉を受け取ることがあります。

そのとき、言葉の中から人格への評価を外して、事実と直し方だけを拾い出してみてください。

何が問題だったのか。

どう直せばいいのか。

この2つだけをメモに残します。

言い方は上司の課題で、直し方は自分の課題です。

そして、この言葉の使い方は、上司に対してではなく、同僚に対して自分から始められます。

同僚の行動が何の役に立ったかを、具体的に一言伝えるところからです。

目的論:過去を責めるより、次に目指す状態と行動を一緒に考える

3つ目は目的論です。

人の行動を「過去の原因」ではなく「これから向かう目的」から見る考え方です。

原因を調べないわけではありません。

調べる目的を、責任の追及ではなく次の改善に置きます。

自分が管理職だったら:「なぜ売れなかった?」だけで終わらせず、「次はどうすれば選ばれるか」を考える

例えば、提案していた商品が採用されず、部下が「価格が高いと言われて、駄目でした」と報告してきたとします。

自分なら、「説明が下手だったのではないか」「もっと早く動くべきだった」と責めるのではなく、まず事実を整理します。

「価格が理由やったんやね」

「価格以外に、使い勝手や導入時期について、何か話や意見はあった?」

「まだ確認できていないことも含めて整理しよう」

そのうえで、次に目指す状態を本人と考えます。

「次の提案では、何を理解してもらえたら比較の土台に乗れると思う?」

「現場の困りごとをもっと聞く必要があるのか、導入後のメリットを具体的に示す必要があるのか、どう考える?」

例えば、商品説明を先に進めすぎて、病院側の選定基準を確認できていなかったのであれば、次の行動を変えます。

「次は見積書を出す前に、現場が重視すること、予算、誰が選定に関わるかを確認しよう」

「その質問の組み立ては、私も一緒に考える」

ここでは、自分が答えをすべて渡すのではなく、まず本人の考えを聞き、その案を具体的な行動にする手助けをします。

原因を確認しないのではありません。

原因を調べる目的を、責任追及ではなく、次の改善に置きます。

ポイント:失敗した事実は変えられない。

でも、次の行動は変えられる。

「誰が悪かったか」で終わらせず、「次はどうするか」を一緒に決める。

原因探しで終わるか、次の一手まで進むか原因論で止まる目的論で進める「なぜ売れなかった?」「次はどうすれば選ばれるか」説明が下手だったのではまず事実を整理する責任の追及で終わる次の行動を一緒に決める見積書の前に確認する3点:現場が重視すること/予算/選定に関わる人
原因論で止まる場合と、目的論で次の一手まで進む場合の比較。

部下の側から見た「目的論」

上司との関係がこじれたとき、頭の中で繰り返されるのは「なぜあの人はああなのか」という問いです。

この問いには、たいてい答えが出ません。

出たとしても、上司の性格や過去の話になり、自分には変えられない内容です。

問いを「次に同じことが起きたら、自分はどう動くか」に置き換えてみてください。

報告の前に確認することを1つ決める。

指示があいまいなときに聞き返す一言を決めておく。

目的論は、相性の悪い上司の下でも自分の次の一手を決めるための道具として使えます。

ノートに次の行動を書き出す手元。上司と合わないときに目的論で考える
「なぜ」を書くより、「次にどうするか」を1行書く。

共同体感覚:「自分もこのチームの役に立っている」と実感できるようにする

4つ目は共同体感覚です。

自分はこの集団の一員で、ここで役に立っている、と感じられる状態のことです。

アドラー心理学では、これを支える要素として自己受容・他者信頼・他者貢献の3つが挙げられます。

自分が管理職だったら:売上をつくった人だけでなく、成果を支えた人の貢献も伝える

例えば、営業所の中に、商談が得意な人、資料作成が得意な人、代理店との調整が得意な人がいたとします。

自分なら、全員に自分と同じ営業スタイルを求めるのではなく、それぞれの強みを生かして、一つの案件を進める形を考えます。

その際に、自己受容・他者信頼・他者貢献を、次のような関わり方で実践します。

自己受容では、「苦手がある自分」を隠さなくてよい関係をつくります。

「最初から全部できなくてもいい」

「私も、うまくいかなかった経験はある」

「今できていることと、支援が必要なことを整理しよう」

自分自身も、成功談だけでなく、失敗から何を変えたかを共有します。

「分からない」「助けてほしい」と言えるように、自分から関わり方を変えます。

他者信頼では、任せることと支えることを両立させます(共同作業としての伴走)。

「今回の商談は、あなたの考えた進め方で取り組んでみよう」

「途中で相談が必要になったら声をかけて」

「確認するタイミングは先に決めておこう」

細かく口を出し続けるのでも、丸投げするのでもなく、任せる範囲と相談の機会を明確にします。

他者貢献では、表に出にくい働きも言葉にします。

例えば受注できたとき、担当営業だけでなく、資料準備や代理店調整を担ったメンバーにも伝えます。

「今回の受注は、お客様と関係をつくった営業活動に加えて、比較資料の準備と代理店との調整があって実現できた」

「それぞれの役割を担ってくれてありがとう」

売上や目標達成はきちんと評価しながら、そこに至る協力や工夫も見えるようにします。

ポイント:一人の優秀な営業だけに頼るのではなく、それぞれが強みを持ち寄り、苦手を補い合えるチームをつくる。

そのために、一人ひとりの貢献を見て、言葉にする。

共同体感覚を支える3つの関わり方自己受容苦手を隠さなくてよい関係をつくる他者信頼任せる範囲と相談の機会を決める他者貢献表に出にくい働きも言葉にする一人の優秀な人に頼らず、強みを持ち寄って苦手を補い合う
共同体感覚を支える自己受容・他者信頼・他者貢献の3つの関わり方。
打ち合わせのあとに笑顔で話す同僚。上司と合わない職場でも同僚との関係はつくれる
上司との関係が変わらなくても、横の関係は自分から変えられる。

管理職のときに学んだことと、今の職場で使っていること

自分が管理職のときにアドラー心理学から学び、目指したマネジメントをまとめると、次のようになります。

自分が目指したマネジメント

チームメンバーが失敗したとき、怒る前に「次はどうするか」を一緒に考える。

成果が出たときは、数字だけではなく、そこに至る過程・工夫や周囲への貢献を見て、感謝を伝えます。

うまく進まないときは、部下だけに変化を求めず、自分の説明や支援、任せ方も見直します。

本人が考えて行動する力を尊重しながら、リーダーとして必要な支援と確認には責任を持つ。

これが、自分の目指したマネジメントです。

今の職場には、これと真逆のタイプの上司がいます。

放任で、責任を押し付けられる形です。

この記事を読んでいる人と、おそらく同じ状況です。

そこで自分は、管理職のときに学んだことを、チームメンバー(同僚)へのコーチングとして改めて使っています。

本書は、自分にとって復習であり、学んだことを再認識する一冊になりました。

オフィスの廊下を話しながら歩く同僚。上司と合わない職場で同僚をコーチングする
上司の役割を持っていなくても、同僚の話を聞くことはできる。

ここで伝えたいのは、アドラー心理学は上司だけのものではない、ということです。

本書の題名は「もしアドラーが上司だったら」ですが、書かれている関わり方の多くは、役職がなくても使えます。

合わない上司の下にいても、同僚に対して「どこを支援すれば動けるか」を聞くことはできます。

同僚の働きが何の役に立ったかを言葉にすることもできます。

上司からもらえなかった関わり方を、自分が横に向けて渡す、という使い方です。

4つの考え方の早見表:管理職の使い方と、部下の側での使い方

ここまでの4つを、1枚の表にまとめます。

左が管理職のときの使い方、右が部下の側から使うときの形です。

同じ考え方でも、向ける相手が変わると、やることが変わります。

課題の分離管理職:本人がやることと支援することを分けて決める/部下の側:頼まれた仕事の「誰が・何を・いつまでに」を書いて確認する
褒めない・叱らない管理職:貢献に感謝し、改善点は事実で伝える/部下の側:受け取った言葉から事実と直し方だけを拾い、同僚には貢献を言葉にする
目的論管理職:「なぜ」で終わらせず、次の行動を一緒に決める/部下の側:「なぜあの人は」をやめて、次に自分がどう動くかを決める
共同体感覚管理職:強みを持ち寄り、表に出にくい働きも言葉にする/部下の側:上司からもらえなかった関わり方を、同僚に向けて渡す

右の列は、どれも上司の協力がなくても始められます。

上司の反応に左右されない行動だけを並べているからです。

全部を一度にやる必要はありません。

まずは一番上の行だけで十分です。

タイプ別:合わない上司の下で、自分の課題になること

相性の悪い上司といっても、困り方はタイプによって違います。

よく聞く3つのタイプについて、上司の課題と自分の課題を分けておきます。

どのタイプでも、上司を直すことは自分の課題に入りません。

放任して、責任だけ押し付ける上司自分の課題:引き受ける範囲と期限を書いて確認し、記録を残す
人格を否定する言い方をする上司自分の課題:言葉から「何が問題で、どう直すか」だけを拾ってメモする
気分で指示が変わる上司自分の課題:指示を受けたその場で、決まったことを一行で復唱して送る

放任型の上司には、こちらから分担を言葉にして渡すのが効きます。

任せきりにする上司ほど、分担を決める作業を面倒に感じていることが多いからです。

否定型の上司には、言葉を受け取る側で仕分けをします。

人格への評価は受け取らず、事実と直し方だけを残します。

気分型の上司には、決まったことをその場で文字にします。

あとから指示が変わっても、どこで変わったかを自分で追えます。

3タイプに共通すること

上司の言動を変えようとはしない

自分が引き受けた範囲を、文字にして残す

感情ではなく、事実と分担と期限でやり取りする

アドラー心理学を職場で使うときの3つの落とし穴

本書の紹介文には、『嫌われる勇気』を実践して、かえって職場で嫌われる人が増えている、という指摘があります。

使い方を間違えると、状況がかえって悪くなるということです。

上司との関係で使うときに気をつけたい点を3つ挙げます。

落とし穴1 上司にアドラー心理学を説く

「それは課題の分離ができていないと思います」と上司に言っても、関係はよくなりません。

相手の考え方を変えようとすること自体が、相手の課題への介入になるからです。

アドラー心理学は、自分の行動を決めるために使います。

落とし穴2 「上司の課題だから」と突き放す

課題の分離は、関わりを断つための考え方ではありません。

「それはあなたの課題です」と冷たく線を引くと、ただの非協力に見えます。

自分の課題の範囲では、できる協力をしたうえで線を引きます。

管理職のときの例でも、分担を決めたあとに「進捗を一緒に確認する」ところまでがセットでした。

落とし穴3 我慢を正当化する

「上司は変えられないのだから、自分が耐えればいい」という使い方も危険です。

耐えるかどうか、その場に居続けるかどうかも、自分で選べる課題です。

異動を申し出る、社内の相談窓口を使う、転職を考える、といった選択も含めて、自分の課題として考えてください。

上司と合わない職場で、明日やる1つ

ここまでの4つを、明日の行動1つに絞ります。

4つ全部を一度にやろうとすると、どれも続きません。

最初にやるのは、課題の分離を紙の上で1回やってみることです。

上司と合わない職場で、明日やる1つ手順1仕事を1件選ぶいちばん曖昧な頼まれごと手順23点を書き出す誰が・何をいつまでに手順3上司に確認を送る「この理解で合っていますか」放任されていても、書いて確かめた範囲は自分の課題として動ける返事が来なくても、書いた記録は自分の手元に残る
明日やる3つの手順。

手順1 仕事を1件だけ選ぶ

選ぶのは、いま手元にある仕事の中で、いちばん曖昧な頼まれごとです。

「いい感じにまとめておいて」「あれ、進めておいて」のように、範囲も期限もはっきりしないものが向いています。

上司との行き違いは、たいていこういう仕事の周りで起きます。

手順2 「誰が・何を・いつまでに」を書き出す

選んだ仕事について、3点を書きます。

誰がやるのか。

何をどこまでやるのか。

いつまでに終えるのか。

自分が支援を必要としている部分があれば、それも1行足します。

管理職のときに自分がメンバーと決めていたのと同じ項目です。

手順3 上司に確認を送る

書いた3点を、短い文面で上司に送ります。

「この理解で進めますが、合っていますか」と添えるだけで十分です。

責める調子にはしません。

確認するのは事実と分担だけです。

返事が来るか、どんな言い方で来るかは上司の課題です。

送った時点で、自分の課題はひとまず終わっています。

送る文面の例

「〇〇の件、次のように理解しています。」

「担当:自分/範囲:△△まで/期限:□日」

「××の部分だけ、判断をいただきたいです。」

「この理解で進めますが、合っていますか。」

ノートとペンとパソコンが置かれた白い机。上司と合わないときに仕事の分担を書き出す
3点を書き出すのにかかる時間は、5分もあれば足りる。

しんどさが続くときは、我慢の道具にしない

アドラー心理学は、合わない上司に耐え続けるための考え方ではありません。

眠れない、朝になると体が動かない、といった状態が続くなら、職場の産業医や医療機関に相談してください。

部署の異動や転職を考えることも、自分の課題の範囲に入ります。

この記事の手順で状況がよくなると約束することはできません。

Audible版の章立てと収録時間(実測)

本書にはAudible版があります。

ナレーターは多田啓太さんで、人の朗読です。

収録データから章ごとの長さを確認しました。

商品ページには出ていない情報です。

Audible版の収録時間(全14パート/5時間20分55秒)14:0019:03119:38220:19319:47425:10523:20625:18723:38828:20930:001033:401126:071212:35否定や裏切りが章題に入った章(第9章・第11章)
Audible版の章ごとの収録時間。全14パートで5時間20分55秒。
全体の収録時間5時間20分55秒
構成プロローグ+全12章+エピローグ(14パート)
1章あたり19分03秒〜33分40秒
いちばん長い章第十一章(33分40秒)
プロローグ/エピローグ14分00秒/12分35秒
ナレーター多田啓太さん(人の朗読)
付属資料PDFあり(Audibleのライブラリーから確認)

この数字から、聴き方を決められます。

1章がおおむね20〜30分なので、通勤の片道で1章、往復で2章のペースです。

この場合、1週間ほどで聴き終わります。

物語なので、基本は第一章から順に聴くのがおすすめです。

上司との関係に悩んでいる人の聴き方

まずプロローグ(14分)で、リョウとドラさんの関係をつかむ

次に第一章から順に進める

否定や裏切りが章題に入っている第九章と第十一章は、時間を取って聴く

最終章の「課長なのに、頑張らなくてもいいの?」は、上司の側の視点を知る章として聴く

1週間で聴き終えて、1つ試す割り当て例

1日目:プロローグと第一章(約33分)

2日目:第二章と第三章(約40分)

3日目:第四章と第五章(約45分)

4日目:第六章と第七章(約49分)

5日目:第八章と第九章(約52分)

6日目:第十章と第十一章(約64分)

7日目:第十二章とエピローグ(約39分)/この日に「誰が・何を・いつまでに」を1件書いて送る

確認できた範囲を分けて書きます

章タイトルと再生時間は、Audibleの収録データで確認したものです。

物語の筋は、版元の紹介文と章タイトルから分かる範囲で書いています。

各章の具体的な中身は、本書で確かめてください。

イヤホンで音声を聴きながら公園を歩く二人。Audibleで本書を聴くイメージ
1章20〜30分は、通勤の片道にちょうど収まる長さ。

なお、執筆時点ではAudibleの会員プランで聴ける作品でした。

対象の作品は入れ替わるので、実際の扱いはリンク先で確認してください。

ちなみに、この記事の図解8点は自分で作っています。

4つの考え方を図にしようとすると、自分の理解のあいまいなところが先に見えます。

道具はAdobeのソフトを使っています。

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Adobe Creative Cloud の料金プランを見る(PR)

※上記はアフィリエイトリンクです。

書籍情報とAudible版

机の上に置かれたペンとノート。もしアドラーが上司だったらを読みながらメモを取るイメージ
読みながら「自分ならどう言うか」を1行ずつ書くと、身につき方が変わる。

『もしアドラーが上司だったら』小倉広

著者
小倉広
単行本
プレジデント社/2017年3月11日/272ページ
Kindle版
あり
Audible版
Audible Studios/ナレーター 多田啓太さん/5時間20分55秒

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耳で読みたい人はこちら

Audible版を見る(PR)

※上記はアフィリエイトリンクです。

Audible版の内容はaudible.co.jpの作品ページでも確認できます。

どれを選ぶかは、読む時間で決めてください。

小説仕立てなので、紙でもKindleでも読み進めやすい本です。

通勤や家事の時間しか取れない人は、Audible版が現実的です。

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

よくある質問

Q. 上司と合わないとき、まず何をすればいいですか

上司を変えようとする前に、自分の課題と上司の課題を分けてください。

仕事を1件選び、「誰が・何を・いつまでに」を書いて上司に確認を送るのが、いちばん小さな一歩です。

Q. アドラー心理学を使うと、上司との関係はよくなりますか

よくなると約束はできません。

上司の態度は上司の課題なので、こちらからは変えられないからです。

ただ、自分がどこまでを引き受けるかがはっきりすると、消耗の量は自分で調整しやすくなります。

Q. 『嫌われる勇気』を読んでいれば、この本は不要ですか

考え方の土台は共通しています。

ただ本書は、職場の具体的な場面にどう当てはめるかを、小説の形で見せる本です。

理屈は分かっているのに職場で使えない、という人に向いています。

Q. Kindleやオーディオブックはありますか

Kindle版とAudible版の両方があります。

Audible版は多田啓太さんによる人の朗読で、5時間20分55秒です。

また、漫画版の『マンガでよくわかる もしアドラーが上司だったら』も出ています。

Q. 管理職ではなくても、この本は役に立ちますか

役に立ちます。

物語の主人公は部下の側で、上司との関係に悩むところから始まります。

また、書かれている関わり方の多くは、同僚に対しても使えます。

Q. 上司に確認を送っても無視されたらどうしますか

返事をするかどうかは上司の課題です。

送った文面は、自分がどこまでを引き受けたかの記録として残ります。

期限が近いのに返事がないときは、「この理解で進めます」と一言添えて進めてかまいません。

Q. 上司と合わないなら、転職したほうがいいですか

一律には言えません。

ただ、異動や転職を考えることも、自分の課題の範囲に入ります。

心身の不調が続いているなら、まず休むことと相談することを優先してください。

Q. 本書に出てくる12の宿題は、この記事で全部分かりますか

この記事では宿題の中身は紹介していません。

物語の中で宿題がどう出され、主人公がどう取り組むかが本書の読みどころだからです。

この記事で扱ったのは、本書の土台にあるアドラー心理学の4つの考え方と、筆者自身の実践例です。

宿題の具体的な中身は、本書で確かめてください。

Q. どの章から読めば、すぐに役立ちますか

物語なので、基本はプロローグから順に読むのがおすすめです。

ただ、時間がない人は、プロローグで主人公と上司の関係をつかんだあと、自分の悩みに近い章題の章を先に読んでもかまいません。

章題はどれも部下の側の悩みの言葉になっているので、目次を眺めるだけでも選べます。

まとめ

上司と合わないとき、上司を変えることはできません。

手を入れられるのは、自分の課題の範囲だけです。

本書のアドラー心理学の4つの考え方は、そのための道具になります。

課題の分離で、自分と上司の線を引く。

褒めない・叱らないで、評価ではなく貢献と改善点を言葉にする。

目的論で、「なぜ」ではなく「次にどうするか」を決める。

共同体感覚で、表に出にくい働きも見て、言葉にする。

上司と合わないときの4つの考え方をまとめた保存用カード。課題の分離、褒めない叱らない、目的論、共同体感覚
保存して見返す用のまとめカード。

明日は、仕事を1件だけ選んでください。

「誰が・何を・いつまでに」を書いて、上司に確認を送ってください。

そしてもう1つ余裕があれば、同僚の働きが何の役に立ったかを、一言だけ伝えてみてください。

大きな窓から光が入る明るいオフィスの机。上司と合わない悩みから一歩進むイメージ
変えられる範囲に手を入れると、同じ職場でも見え方が変わる。

アドラー心理学の考え方そのものを整理したい人は、こちらも読まれています。

【図解】嫌われる勇気の要約|目的論・課題の分離・共同体感覚を53歳が整理してみた

この記事の写真と図解について(Adobe Stock)

写真10点はすべてAdobe Stockの無料素材

この記事に使った写真10点は、Adobe Stockの無料素材から選んでいます。

写真の質は、そのまま記事の説得力になります。

同じ文章でも、上に置く1枚で読み進めてもらえるかどうかが変わります。

ただし無料の範囲だけだと、途中で足りなくなります。

日本の職場らしい写真や、狙った構図のものは有料側にしかないことが多いです。

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図解8点は自分で作っている

図解は8点とも自分で作っています。

作る理由は見栄えではありません。

図にすると、自分の理解の穴が見えるからです。

50代から始めるなら、どこから手をつけるか

写真だけ必要なら

Adobe Stock 単体で足ります。

図解や画像を自分で作るなら

Creative Cloud を検討します。

まず手を動かしてみるだけなら

Adobe Express から始めます。

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最後に釘を刺しておきます。

ツールを買っただけでは何も変わりません。

自分はWEBデザインのオンラインスクールに通いましたが、そこからは1円も稼げませんでした。

先に作りたいものを決めて、それから道具を選んでください。

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本記事は『もしアドラーが上司だったら』(小倉広/プレジデント社)の版元紹介文・章立てと、筆者が管理職として実践してきた内容をもとにまとめたものです。

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河合義寛(YoshihiroK)
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「Re:じぶん再起動ノート」運営者
こんにちは、河合義寛(YoshihiroK)です。53歳で早期退職し、Adobeとブログで人生を再起動中。医療業界30年の営業経験を土台に、50代からの学び直し・デザイン副業・ブログ収益化のリアルを実体験で発信しています。「今からでも遅くない」そんな再スタートを応援するブログです。
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