Wi-Fiの自動接続は切るべき?「経産省の緊急警告」動画の3つの設定を公式情報で検証

「経済産業省が緊急警告」「つないだことがなくても、カードが不正決済される」。
そんな言葉で始まるスマホのWi-Fiの動画が、いま広く見られています。
外でスマホを使うことが多いと、どきっとしますよね。
この記事では、動画が勧めるWi-Fiの自動接続を止める3つの設定を、Apple、Google、総務省の公式の情報で1つずつ確かめます。
この記事でわかること
- 「経済産業省の緊急警告」は確認できたのか
- スマホが自分でつなぎにいくWi-Fiは、どれなのか
- つながっただけで、カードの番号は抜かれるのか
- 本当に効く、今日できる4つの守り
気をつけたいのは、前につないだWi-Fiと同じ名前の偽物です。
結論:Wi-Fiの自動接続は、覚えた名前を整理すれば十分
iPhoneもAndroidも、自動でつなぎにいくのは、前に一度つないで覚えたWi-Fiだけです。
AppleもGoogleも、公式のヘルプでそう説明しています。
ですから、守りの中心は「覚えたWi-Fiの一覧」です。
自宅と職場以外の名前を消しておけば、外で同じ名前の偽物が待っていても、スマホは自分からつなぎにいきません。
動画が勧める3つの設定のうち、2つはこの考え方に合っていて、効きます。
ただ、1つ目の「位置情報の一番奥のスイッチ」は、Wi-Fiにつなぐ仕組みとは別のものでした。
「経済産業省の緊急警告」は確認できなかった
動画は「経済産業省が10月28日、iPhoneとAndroidに緊急警告を出した」と始まります。
そこで、経済産業省のニュースリリースの一覧を確かめました。
10月28日付けの発表は3件で、スマホのWi-Fiについての警告は見当たりませんでした。
ほかの省庁の発表でも、同じ内容は見つけられませんでした。
「緊急」「国が警告」と言われると、急いで何かしなければと焦ってしまいます。
そんなときほど、元の発表を一度確かめるのが安心です。
スマホが自分でつなぎにいくのは、一度つないだWi-Fiだけ
動画は、スマホが行く先々のWi-Fiを探して、同じ名前の偽物を見つけると勝手につなぐ、と説明しています。
そして「自分で1度もつないだことがなくても」被害の対象になる、と続けます。
Appleのユーザガイドには、iPhoneは接続したことのあるネットワークに自動的に接続する、と書かれています。
新しいWi-Fiにつなぐときは、自分で名前をタップして、パスワードを入れる必要があります。
Androidのヘルプも同じです。
Wi-Fiをオンにすると、以前に接続したことのある近くのWi-Fiに自動で接続する、と説明しています。
つまり、一度もつないでいないWi-Fiに、スマホが勝手につなぐことはありません。
一方で、前につないだWi-Fiと同じ名前の偽物には、スマホが本物と見分けられずにつながることがあります。
Wi-Fiの自動接続で本当に気をつけたいのは、こちらです。
つながっただけで、カードの番号は抜かれない
動画は、偽物のWi-Fiにつながった瞬間にカードの番号が抜き取られ、画面に1度も触れないまま不正決済される、と説明しています。
ここは、かなり言いすぎです。
いまのネットの買い物やログインは、ほとんどが暗号化された通信で行われます。
偽物のWi-Fiにつながっただけで、スマホに保存したカードの番号がそのまま抜き取られることはありません。
危ないのは、つないだあとに出てくる偽のログイン画面や支払い画面に、自分で番号やパスワードを入れてしまうことです。
総務省の「公衆Wi-Fi利用者向け 簡易マニュアル」も、接続するWi-Fiをよく確かめることと、正しいURLで暗号化された通信になっているかを確かめることを、守りのポイントに挙げています。
でも、守りの中心は「覚えた一覧」と「外で入れないこと」の2つです。
動画が勧める3つの設定を、1つずつ確かめる
動画が勧めているのは、iPhoneとAndroidで次の3つをすることです。
- 位置情報の一番奥にあるスイッチを切る
- 覚えたWi-Fiの一覧から、使わない名前を消す
- 外ではボタンではなく「設定」からWi-Fiを切る
1つ目:位置情報の奥のスイッチは、Wi-Fiにつなぐ仕組みではない
動画は、iPhoneの「位置情報サービス」の「システムサービス」にある「ネットワークとワイヤレス」を切るよう勧めています。
Androidでは「位置情報の精度を改善」と「Wi-Fi スキャン」です。
Appleの「位置情報サービスとプライバシー」の説明では、近くのWi-Fiや携帯電話の基地局の場所の情報を匿名でAppleに送り、位置情報を正確にするために使う、とされています。
Androidの「位置情報の精度」も、位置情報を正確にするためのデータを集める仕組みだと説明されています。
どちらも、Wi-Fiの場所を手がかりに「今どこにいるか」を割り出すための仕組みです。
偽物のWi-Fiを探して勝手につなぐ働きは、公式の説明には見当たりませんでした。
切っても大きな困りごとはありませんが、地図などで今いる場所の精度が下がることがあります。
位置情報を送りたくない人が切るのはよいのですが、Wi-Fiの守りとしては効かない、と考えてください。
2つ目:覚えたWi-Fiの一覧を整理するのは、効く
ここは、動画の勧めどおりで効きます。
スマホが自動でつなぎにいくのは覚えたWi-Fiだけなので、一覧を短くするほど、偽物がまねできる名前が減ります。
旅行先のホテルや病院、駅やカフェのWi-Fiは、一度つなぐとずっと一覧に残ります。
自宅と職場以外の名前は、この機会に消しておきましょう。
3つ目:外では「設定」からWi-Fiを切るのも、効く
これも、Appleの説明どおりです。
iPhoneの画面右上から出す「コントロールセンター」でWi-Fiのボタンを押すと、その場で接続は切れます。
ただし、新しい場所へ移動したとき、午前5時になったとき、再起動したときなどに、自動接続が戻ります。
Androidにも、保存したWi-Fiの近くに来ると、Wi-Fiを自動でオンにする設定があります。
外でWi-Fiを確実に止めたいときは、どちらも「設定」の画面から切るのが確実です。
今日やる4つの守り
ここからは、手元のスマホで順番にやっていきます。
画面の名前は、機種やiOS、Androidのバージョンによって少し違うことがあります。
覚えたWi-Fiを整理する
iPhoneの場合
- 「設定」を開いて「Wi-Fi」をタップ
- 右上の「編集」をタップ
- 「既知のネットワーク」の一覧から、自宅と職場以外の名前を選ぶ
- 名前の横の i のマークから「このネットワーク設定を削除」をタップ
Androidの場合
- 「設定」を開いて「ネットワークとインターネット」をタップ
- 「インターネット」をタップ
- 「保存済みネットワーク」から、自宅と職場以外の名前を選ぶ
- 「削除」をタップ
同じApple Accountを使っているiPadやMacでは、削除したWi-Fiが一緒に消えることがあります。
消した名前でも、また使いたい日にその場で選んでパスワードを入れれば、すぐにつながります。
残したい外のWi-Fiは、自動接続を切る
よく行くお店のWi-Fiなど、消さずに残したいものもあると思います。
iPhoneなら、そのWi-Fiの名前の横の i のマークを開き、「自動接続」のスイッチを切っておきます。
こうしておけば、近くに来ても自分で選ぶまでつながりません。
Androidは機種によって項目が違うので、残したい外のWi-Fiも、使う日にだけつなぐ形にしておくと確実です。
外では「設定」からWi-Fiを切る
iPhoneは「設定」の「Wi-Fi」を開き、一番上のスイッチを切ります。
家に帰ったら、同じスイッチをもう一度入れてください。
Androidは「設定」の「ネットワークとインターネット」から「インターネット」、「ネットワーク設定」と進みます。
「Wi-Fi を自動的に ON にする」がオンなら、切っておきます。
外のWi-Fiでは、カード番号とパスワードを入れない
最後が、いちばん効く守りです。
外のWi-Fiにつないでいるときは、カードの番号やパスワードを入れる買い物やログインをしないようにします。
どうしても外で払うなら、Wi-Fiを切って、スマホのモバイル通信で払います。
Apple PayやGoogle Payが使えるお店なら、本物のカード番号がお店に渡らないので、さらに安心です。
払い方の話は、クレジットカードの自動入力の記事にまとめています。
この記事の図解3点は、筆者が自分で作りました。
家族に「この設定にしておいてね」と伝えるとき、画像1枚にまとめると伝わり方がまるで変わります。
そうした案内を作るなら、スマホでも使えるAdobe Expressが手軽です。
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見覚えのない請求を見つけたら
カードの明細や通知に見覚えのない支払いがあったら、すぐにカードの裏に書いてある番号に電話します。
カードを止めてもらい、不正利用として調べてもらいます。
多くのカード会社には、勝手に使われた分を補償する仕組みがあります。
ただし、届け出の期限が決まっていることが多いので、気づいたらその日のうちに連絡するのがいちばんです。
どこに相談すればいいか分からないときは、消費者ホットラインの「188」に電話すると、近くの消費生活センターにつながります。
家族のスマホも、一緒に見ておく
家族のスマホにも、旅行や入院のときにつないだWi-Fiが、ずっと残っていることがあります。
帰省したときや一緒に過ごす時間に、次の2つだけ見てあげてください。
- 覚えたWi-Fiの一覧が、自宅と職場の名前だけになっているか
- 外でWi-Fiを切るときは「設定」の画面から切ることを知っているか
動画を見て、位置情報のスイッチを切った人もいるかもしれません。
地図などで困ることがあれば、同じ場所を開いて、もう一度オンに戻せば元どおりです。
まとめ:Wi-Fiの自動接続は、覚えた一覧を整理する
保存して、あとで見返せるように
- 「経済産業省の緊急警告」は、発表の一覧では確認できなかった
- スマホが自動でつなぐのは、一度つないだWi-Fiだけ
- つながっただけで、カードの番号が抜かれることはない
- 位置情報の奥のスイッチは、Wi-Fiの守りにはならない
- 覚えたWi-Fiは、自宅と職場以外を削除する
- 外では「設定」からWi-Fiを切る
- 外のWi-Fiでは、カード番号とパスワードを入れない
「緊急警告」と言われると、全部のスイッチを切りたくなります。
でも、本当に効くのは、覚えたWi-Fiの一覧を整理して、外では入れないと決めることでした。
今夜、Wi-Fiの一覧を開いて、自宅と職場以外の名前を1つ消してみてください。
よくある質問
Q. 一度もつないでいない偽物のWi-Fiに、勝手につながることはありますか?
AppleとGoogleの説明では、スマホが自動でつなぐのは、以前に接続したことのあるWi-Fiだけです。
気をつけたいのは、前につないだWi-Fiと同じ名前の偽物なので、覚えたWi-Fiの一覧を整理しておきましょう。
Q. 位置情報の「ネットワークとワイヤレス」は、切ったほうがいいですか?
Appleの説明では、Wi-Fiなどの場所を手がかりに位置情報を正確にするための仕組みです。
位置情報を送りたくない人は切ってもかまいませんが、Wi-Fiの守りとしては効きません。
Q. 外のWi-Fiは、使わないほうがいいですか?
動画を見たり、調べものをしたりする程度なら、使ってもかまいません。
カードの番号やパスワードを入れる買い物やログインは、Wi-Fiを切ってモバイル通信で行うと安心です。
Q. Wi-Fiの一覧から消すと、また使うときに困りませんか?
また使いたい日に、その場で名前を選んでパスワードを入れれば、すぐにつながります。
よく使う外のWi-Fiは、iPhoneなら「自動接続」を切って残しておく方法もあります。
Q. 「経済産業省の緊急警告」は、本当に出ていないのですか?
2026年10月28日時点で、経済産業省のニュースリリースの一覧には、スマホのWi-Fiについての警告は見当たりませんでした。
気になるときは、省庁の公式サイトで元の発表を確かめるのが確実です。
あわせて読みたい
この記事は、YouTubeの「元スマホショップ店員のみずき」さんの動画をきっかけに、2026年10月28日時点の公式の情報(経済産業省「ニュースリリース」、Apple「iPhoneのWi-Fi設定を管理する」、Apple「コントロールセンターでBluetoothとWi-Fiを使う」、Apple「位置情報サービスとプライバシー」、Android ヘルプ「Android デバイスを Wi-Fi ネットワークに接続する」、Android ヘルプ「位置情報の設定を管理する」、総務省「無線LAN(Wi-Fi)の安全な利用」)で確かめて書いています。
設定の名前や場所は、iOSやAndroidのバージョン、機種によって違うことがあります。
最新の情報はリンク先で確かめてください。
この記事の写真と図解について(Adobe Stock)
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この記事の写真6点と黒猫のイラストは、Adobe Stockの無料素材です。
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図解3点は、筆者が公式の情報から作った
図解の中身は、Apple、Google、総務省の公式ページから取りました。
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