伝わる言語化|三宅香帆が教える「自分の言葉」で人生を変える方法。50代からでも遅くない!
「自分の気持ちをうまく伝えられない」
そんな経験はないだろうか。
会議で意見を求められても、頭の中では考えがまとまっているのに、いざ話そうとすると言葉が出てこない。
家族との会話でも、本当は伝えたいことがあるのに、うまく説明できず、最後には「もういい」と諦めてしまう。
SNSやブログに何かを書こうとしても、ありきたりな表現ばかりになってしまう。

年齢を重ねると経験や知識は増えていく。
それなのに、自分の思いを言葉にすることは意外と難しい。
三宅香帆氏の『伝わる言語化 自分だけの言葉で人の心を動かすトレーニング』は、そんな悩みを解決するヒントを与えてくれる一冊だ。
まずは1分で分かる、この記事の要点
- 「すごい」「楽しかった」のような決まり文句だけでは、気持ちの中身は伝わらない。
- 言葉にするカギは、語彙力より「細分化」。気持ちを細かく分けるほど、自分らしい言葉になる。
- 心が動いた理由は「共感」「驚き」「不快」「退屈」のどれかに分けて考えられる。
- 相手に伝わらない原因は「情報格差」。相手が知らないことを想像して補う。
- 明日からは、1日1つ、心が動いたことを自分しか見ないメモに書くところから。
なぜ自分の気持ちは言葉にできないのか?
私たちは普段、「すごい」「楽しかった」「大変だった」「感動した」といった言葉を何気なく使っている。
もちろん、それ自体は悪いことではない。
ただ、それだけでは自分が何を感じ、なぜ心が動いたのかまでは相手に伝わらない。
本書では、こうした誰もが使う決まり文句を「クリシェ」と呼んでいる。
便利な言葉に頼るほど、自分の本当の気持ちが言葉から抜け落ちていく、というわけだ。
例えば、久しぶりに友人と食事をしたとする。
「楽しかった!」で終わらせるのか、それとも「昔と変わらず、何気ない話で笑い合える時間が嬉しかった」と伝えるのか。
同じ出来事でも、受け取る側の印象は大きく変わる。
大切なのは、立派な言葉を使うことではない。
自分が本当に感じたことを、自分の言葉で表現すること。
これが本書の大切なテーマだ。

伝わる言語化は「自分のなか」と「相手に伝える」の2段階
本書では、言語化を2種類に分けて考えている。
1つは、自分の気持ちや考えを、自分で分かるように言葉にする「自分のなかの言語化」。
もう1つは、その言葉を相手に届ける「他人に伝わる言語化」だ。
うまく伝えられないとき、私たちはつい話し方や文章の技術を疑う。
けれども、そもそも自分の中で言葉になっていなければ、どんなに上手に話しても相手には届かない。
相手に伝える力は、まず自分の気持ちに言葉を与えるところから始まる。
語彙力より「細分化」が大事
言葉が出てこないと、「自分は語彙が少ないから」と考えがちだ。
本書が強調するのは、語彙力ではなく「細分化」である。
気持ちや出来事を細かく分けていくと、借り物ではない、自分だけの具体的な言葉が見つかる。
具体例は細かければ細かいほどいい。
オリジナリティは、細かさに宿る。
先ほどの食事の例も、難しい言葉は1つも使っていない。
「何が」嬉しかったのかを、少し細かくしただけだ。
心が動いた理由を4つに分けて考える
感情を言葉にするときは、「どんな感情を」「どうして抱いたのか」の2つを考える。
本書では、ポジティブな気持ちのもとには「共感」か「驚き」があり、ネガティブな気持ちのもとには「不快」か「退屈」がある、と整理している。
「なぜ嬉しかったのか?」「何が嫌だったのか?」と自分に問いかけるとき、この4つに当てはめてみると考えやすい。
感情の理由を探すことで、自分でも気づかなかった本音が見えてくる。

メモは「自分しか見ない場所」に書く
日常の中で心が動いた瞬間を見逃さないために、本書はメモをすすめている。
ポイントは、誰かに見せる前提で書かないことだ。
メモのルールは自分で決めていい。
自分しか見られない場所に、ひとりで自由に書く。
人の目を気にしないからこそ、きれいごとではない本音が言葉になる。
相手に伝わらない理由は「情報格差」
自分の中で言葉になったら、次は相手に届ける段階だ。
本書では、伝わらない理由を「情報格差」と呼んでいる。
自分が知っていることを、相手も知っているとは限らない。
まずは相手との距離を知り、相手がどんな情報を持っているかを想像する。
そのうえで、足りない情報を補いながら伝える。
結論から話す、例を添えるといった工夫も、この「相手が知らないこと」を埋めるためにあると考えると、ぐっと使いやすくなる。
50代からの仕事や人間関係にも言語化は役立つ
年齢を重ねると、職場でも家庭でも、言葉で伝えなければならない場面が増えていく。
仕事では、後輩への指導や上司への報告、取引先との交渉。
家庭では、夫婦の会話や子どもとの関係。
自分の考えをうまく伝えられないと、誤解が生まれたり、本当は納得していないのに相手に合わせてしまったりする。

本書の後半では、商品や企画をプレゼンするとき、自分自身をアピールするとき、相手をほめるときやしかるときなど、場面ごとの伝え方も取り上げている。
後輩を育てる立場になった50代にとって、ほめ方としかり方の言葉を見直せるのはありがたい。
そんなとき、自分の感情を整理して言葉にできれば、相手とのコミュニケーションも変わってくる。
特に大切なのは、相手を言い負かすことではない。
自分が何を考えているのか、何を大切にしているのかを、相手に理解してもらうことだ。
言語化する力は、仕事のためだけではなく、自分らしく生きるためにも必要なスキルなのだと思う。

ブログやSNSで発信する人にもおすすめ
私が特に注目したいのは、言語化の力が情報発信にも役立つという点だ。
ブログやSNSには、毎日たくさんの文章が投稿されている。
その中で読者の心に残るのは、単に情報を並べた文章ではない。
書き手自身の経験や感情が伝わってくる文章だ。
例えば、50代から新しいことに挑戦した経験を書くときも、「新しいことを始めました」だけでは印象に残りにくい。
始める前の不安、失敗したときの悔しさ、少し前進できたときの喜び。
そうした具体的な感情を言葉にすることで、同じ悩みを抱える読者の共感につながる。
本書の最終章では、言語化の技術を企画やコンセプトづくりにも応用し、自分で立てた「問い」がオリジナリティになると語られている。
発信を続けたい人にとっては、何を書くかを決めるヒントにもなる。
人の心を動かす文章は、上手な文章よりも、自分の体験が伝わる文章なのかもしれない。

今日からできる言語化トレーニング
難しく考える必要はない。
まずは一日一つ、心に残った出来事を書き留めてみよう。
- 今日、一番嬉しかったことは?
- なぜ、それが嬉しかったのか?
共感と驚きのどちらに近いかを考えてみる。 - そのとき、自分はどう感じたのか?
- 誰かに伝えるなら、どんな言葉を選ぶか?
相手が知らないことを、ひと言足してみる。
この習慣を続けるだけでも、自分の感情を見つめ直すきっかけになる。
最初から完璧な文章を書く必要はない。
自分の言葉で考え、自分の言葉で伝える。
その積み重ねが言語化する力を育てていく。

Audibleで聴くなら、どの章から?
忙しくて本を開く時間が取れない人には、Audible版という選択肢もある。
再生時間は1時間59分で、はじめに、5つの章、あとがきでできている。
家事をしながら、散歩をしながら聴けるのがいいところだ。
- 気持ちがうまく言葉にならないなら。
2章「自分のなかの言語化」から。
28分ほどで聴ける。 - 話しても相手に伝わらないなら。
3章(相手に伝える段階)から。
20分ほどだ。 - プレゼンや部下への声かけに悩んでいるなら。
4章「実践のコツ」から。
24分ほどで聴ける。
1日1章なら、1週間ほどで聴き終わる。
ただ、トレーニングの本なので、聴いたあとに1つでもメモを書いてみると身につきやすい。
※章の長さは、Audibleの章情報から筆者が計算した。

『伝わる言語化』 自分だけの言葉で人の心を動かすトレーニング
- 著者
- 三宅香帆(文芸評論家)
- 出版社
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日
- 2025年10月24日(単行本・176ページ)
- 内容
- ありきたりな表現から抜け出し、自分の言葉で相手に伝えるための考え方と練習を、全5章で紹介する本
- 形式
- 単行本/Kindle版/Audible版
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耳で聴く、Audible版
Audible版は、ナレーターの谷始央理さんが読んでいます。
再生時間は1時間59分です。
2026年11月8日時点で、Audibleの聴き放題の対象になっています。
対象は時期によって変わるので、リンク先で確認してください。
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無料体験の期間と条件は、変わることがあります。
申し込む前に、リンク先のページで確認してください。
Audible版の内容は、Audible公式の作品ページでも確認できます。
まとめ|自分の言葉を持つことは、自分らしく生きること
三宅香帆氏の『伝わる言語化』は、単なる文章の書き方を学ぶ本ではない。
自分の感情に気づき、それを整理し、相手に届けるための考え方を学べる一冊だ。
この記事のまとめ
- 「すごい」「楽しかった」で終わらせず、気持ちを細かく分ける。
- 心が動いた理由を、共感・驚き・不快・退屈に当てはめてみる。
- 相手が知らないことを想像して、ひと言足して伝える。
仕事でも、家庭でも、ブログやSNSでも、自分の言葉で伝える力は大きな武器になる。
50代だから遅いということはない。
これまでの人生で経験してきたこと、悩んだこと、乗り越えてきたこと。
その一つひとつが、自分にしか書けない言葉の材料になる。
誰かの言葉を借りるのではなく、自分の経験から生まれた言葉で伝えてみよう。

あなたの何気ない経験が、同じ悩みを抱える誰かの心を動かすかもしれない。
こんな人におすすめ
- 自分の気持ちをうまく言葉にできないと感じている人
- 会議や家族との会話で、言いたいことが伝わらない人
- 後輩や部下へのほめ方、しかり方に悩んでいる人
- ブログやSNSの文章がありきたりになってしまう人
- 50代から発信を始めてみたい人
よくある質問(FAQ)
Q. この本はどんな本ですか?
文芸評論家の三宅香帆さんが、決まり文句に頼らず、自分の言葉で相手に伝えるための考え方と練習をまとめた本です。
2025年10月にディスカヴァー・トゥエンティワンから出ています。
Q. 『「好き」を言語化する技術』とは何が違いますか?
同じ著者の本ですが、本書は「相手に伝える」ところまでを扱い、プレゼンや自己アピール、ほめ方やしかり方などの場面も取り上げています。
好きなものを語る力から一歩進んで、仕事や家庭での伝え方を身につけたい人に向いています。
Q. 語彙が少なくても言語化できますか?
本書は、言語化に必要なのは語彙力ではなく「細分化」だとしています。
難しい言葉を覚えるより、自分の気持ちを細かく分けて見ることが出発点です。
Q. Kindle版やオーディオブックはありますか?
単行本のほかに、Kindle版とAudible版があります。
Audible版は谷始央理さんの朗読で1時間59分、2026年11月8日時点で聴き放題の対象です。
対象は時期によって変わるので、リンク先で確認してください。
Q. 50代からでも身につきますか?
本書は特別な才能ではなく、練習で身につける方法として言語化を紹介しています。
これまでの経験が多いぶん、言葉の材料はむしろ豊富です。
1日1つのメモから始めてみてください。
※この記事は、『伝わる言語化』(三宅香帆 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)を紹介する筆者の感想と要約です。
本の構成は、Audible版の章立てで確認しています。
章の長さは、Audible版の章情報から筆者が計算しています。
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- SNSの投稿画像やカードを作りたいなら。
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IllustratorやPhotoshopが入ったCreative Cloudが候補です。 - 記事に使える写真を増やしたいなら。
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道具をそろえただけでは、伝わる文章は書けません。
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