肩の力を抜く方法は2つだけ|「自覚できない力み」に気づいて、長く吐く【図解8点】
大事な場面ほど、体に力が入る。
そう自覚している人は、まだましなほうだと思う。
やっかいなのは、力んでいることに自分で気づいていない場合だ。
筆者は富士ヒルクライムに2回出場して、2回ともブロンズに届かず完走止まりだった。
ヒルクライムは、力めば力むほど進まなくなる競技だと言われる。
そこで手に取ったのが、心身統一合氣道会の会長である藤平信一さんの『力を抜く練習 動じない自分の養い方』(幻冬舎)だった。
この記事では、本書から取り出せる肩の力を抜く方法を2つの手順に絞って書く。
読んだその日の夜から試せる形にした。
肩の力を抜く方法は、「気づく」と「長く吐く」の2つに絞れる。
力みは自覚できないので、抜こうとする前に、まず気づく工程が要る。
そして明日やることは、ひとつでいい。
力が入ったと気づいた場面で、一度だけ息を長く吐く。
- 肩の力を抜く方法は、この2つに絞れる
- 著者はどんな人か
- 本書に出てくる言葉を、先に整理しておく
- 手順1 力みは「抜く」より先に「気づく」
- 手順2 吸う息ではなく、吐く息を長くする
- 1日のどこで試すか。時間帯で決めておく
- 立ったまま確かめる「氣のテスト」という実験
- 「見られる」から「見る」へ。緊張の向きを変える
- 人を導く側になったときの力み
- 職場の「流れが悪い」も、同じ話だった
- 先に外しておきたい勘違い3つ
- 1週間で試すなら、この割り当てにする
- 時間がない人は、どこから聴けばいいか
- 立場別に、どの章から読むか
- 小林正観さんが書いていたことと、ほぼ同じだった
- つまずきやすい3つの場面
- 7日たったら、何を見るか
- 書籍情報と入手先
- あわせて読みたい記事
- よくある質問
- 本を買わなくても、今日からできる3つ
- まとめ
- この記事の写真と図解について(Adobe Stock)
肩の力を抜く方法は、この2つに絞れる
本書は全5章で構成されている。
読み進めると、話の組み立てがかなりはっきりしていることが分かる。
第一章で「なぜ力むのか」を扱い、第三章で「姿勢と呼吸」という具体的な手当てに入る。
第二章と第四章と第五章は、その考え方を人間関係や指導の場面へ広げていく構成だ。
つまり、体に効かせる部分だけを取り出すなら、第一章と第三章に集約されている。
そこから作れる手順が、次の2つになる。
図1 肩の力を抜く方法は、気づく工程と吐く工程の2つでできている。
順番を入れ替えないことが大事になる。
気づかないまま呼吸だけ整えても、力みはそのまま残るからだ。
著者はどんな人か
藤平信一さんは、心身統一合氣道会の会長を務めている。
父親は、この流派を創始した藤平光一さん。
つまり本書に書かれていることは、思いつきの自己啓発ではなく、道場で長く受け継がれてきた稽古の言語化だ。
そこが、似たタイトルの本と違うところだと思う。
著者には『心を静める 大事な場面で実力を120%発揮する方法』(幻冬舎文庫)や『一流の人が学ぶ 氣の力』といった本もある。
いずれも「大事な場面で力を出す」という同じ問題を扱っている。
今回の『力を抜く練習』は、そのなかでも手順が細かく、実際に体を動かすパートが入っているのが特徴になる。
大事な場面で実力が出ないと感じている人。
頑張っているのに成果が伸びていない人。
人前で話す仕事がある人。
部下や子どもを育てる立場にいる人。
すぐ効く技だけがほしい人には、前半の説明が長く感じると思う。
第一章だけで76分54秒あるので、そこは先に言っておく。
本書に出てくる言葉を、先に整理しておく
本書には、ふだん使わない言葉がいくつか出てくる。
意味を先に押さえておくと、読むのがずいぶん楽になる。
| 言葉 | この記事での読み方 |
|---|---|
| 氣 | 体と心をつなぐ働きのこと。 信じる対象ではなく、試して確かめる対象として扱われている。 |
| 力み | 目的に必要のない力が入っている状態。 本人には見えにくい。 |
| 上ずる | 重心と意識が上に集まっている状態。 肩が上がり、呼吸が浅くなる。 |
| 臍下の一点 | 下腹のあたりに置く意識の置きどころ。 本書には、よく似た「丹田」との違いを説明した項目がある。 |
| 滞り | 流れが止まっている状態。 体だけでなく、職場の仕事の流れにも使われている。 |
「氣」という言葉が出てくると身構える人がいると思う。
ただ本書の立場は、信じなさいではなく、確かめなさいのほうだ。
第二章に、正しいことには普遍性と再現性がある、という主旨の項目が置かれている。
再現性という言葉を使っている時点で、検証を前提にしていることが分かる。
手順1 力みは「抜く」より先に「気づく」
本書の第一章に、「自覚できない力み」という言い方が出てくる。
これが本書の入口であり、いちばん大事なところだと思う。
力を抜こうとする人は、自分が力んでいることを前提にしている。
ところが実際には、力んでいる状態が長く続くと、その状態が本人にとっての「ふつう」になる。
肩が上がったままでも、そのほうが自然に感じてしまう。
だから「力を抜こう」と念じても、抜くべき場所が見つからない。
力みには3つの層がある
本書を読みながら整理すると、力みは一枚岩ではないことが分かる。
大きく3つの層に分けられる。
図2 下の層ほど自分では見つけにくい。
肩の力を抜く方法が効きにくいのは、第2層と第3層を放置しているときだ。
第1層は、言われなくても分かる。
問題は第2層だ。
本書には、「しないように」と考えること自体が心の力みになる、という指摘がある。
これは第3層にあたる。
「緊張しないように」と自分に言い聞かせている時点で、もう力が入っている。
なぜ、頑張るほど力が出なくなるのか
本書の第一章には、頑張っているだけでは成果は上がらない、という主旨の項目がある。
根性論の否定に見えるが、そうではない。
頑張ること自体は否定していない。
問題は、頑張り方が「力を入れる」一本になっていることだ。
力を入れると、体は硬くなる。
硬くなると、動きが遅れる。
遅れると、それを取り返そうとしてさらに力を入れる。
この繰り返しで、出せる力がどんどん減っていく。
もうひとつ、本書には力みがあるほど外からの影響を受けやすくなる、という指摘もある。
これは実感しやすいところだと思う。
硬くなっているときほど、ちょっとした一言で揺れる。
やわらかいときは、同じ言葉を言われても受け流せる。
動じない状態というのは、鉄のように固まることではなく、やわらかいまま崩れないことを指している。
動じない、とは固まることではない。
やわらかいまま、崩れないこと。
だから「力を抜く」と「動じない」が、矛盾せずに同じ本のタイトルに並んでいる。
「しないように」が、いちばん効かない
本書には、「〇〇しないように」という考え方が心の力みになる、という主旨の項目がある。
ミスしないように、緊張しないように、嫌われないように。
こう考えているとき、意識は避けたいもののほうへ向いている。
向いているものに体は反応するので、避けたいはずの状態に近づいてしまう。
だから言い換えをする。
| 心の力みになる言い方 | 言い換え |
|---|---|
| 失敗しないように | 最初の1分を丁寧にやる |
| 緊張しないように | 相手の顔を3人ぶん見る |
| 嫌われないように | 相手の話を最後まで聞く |
| 力まないように | 息を長く吐く |
右側はどれも、やることが動詞になっている。
「しない」は動詞にならないので、体は何をしていいか分からない。
ここを直すだけでも、力みはかなり減ると思う。
確かめるのは、肩と奥歯の2か所だけ
気づく工程を毎回きちんとやろうとすると、それ自体が負担になる。
だから確認する場所を2か所に絞る。
肩と奥歯だ。
この2つは、力みが出やすいわりに、自分でも触って確かめられる。
図3 確認を2か所に絞ると、忙しい日でも続く。
1 肩の位置を見る。
耳に近づいていたら、いったん上げてから落とす。
2 上下の歯が触れているかを確かめる。
触れていたら、舌を下げて歯を離す。
3 ここまでで力みがあったかどうかだけ覚えておく。
直そうとしなくていい。
3番目が抜けやすい。
気づいた時点で半分は終わっているので、無理に直そうとしないほうがいい。
本書にも、始めてしまえばあとは半分という趣旨の項目がある。
手順2 吸う息ではなく、吐く息を長くする
気づいたあとにやることは、ひとつだけでいい。
息を長く吐く。
深呼吸をしましょう、とは書かない。
深呼吸と言われると、多くの人はまず大きく吸おうとするからだ。
大きく吸うと胸が持ち上がり、肩も一緒に上がる。
力を抜きたいのに、力が入る動きから始めてしまうことになる。
なぜ吐く息のほうなのか
本書の第三章は「姿勢」と「呼吸」を扱う章になっている。
そのなかに、心の状態が呼吸となって体に表れる、という趣旨の項目がある。
順序が逆になっているのがおもしろいところだ。
ふつうは「心を落ち着けよう」と考える。
けれども心は直接さわれない。
さわれるのは呼吸のほうだ。
だから呼吸を先に変える。
図4 肩の力を抜く方法として呼吸を使うなら、吐くほうを長くする。
吸う息は鼻から、数えて4つぶん。
吐く息は口から、数えて8つぶん。
秒数は正確でなくていい。
吐くほうが倍くらい長ければそれでいい。
回数は1回でいい。
3回やろうとすると続かない。
1回でいい、と決めておくのがコツだと思う。
回数を増やすと「やらなければ」が生まれて、それがまた心の力みになる。
声が変わると、相手の反応が変わる
本書には、声にまつわる項目がいくつか入っている。
「声」が変われば対人関係が変わる、という主旨のものと、力まない声はなぜ遠くまで届くのか、という主旨のものだ。
ここは読んでいて納得した部分だった。
商談でも面接でも、うまくいかない場面ほど声が高く、速くなりやすい。
声は呼吸の上に乗っている。
だから吐く息が短いと、声も浅くなる。
逆に言えば、声は他人から見える力みの指標になる。
1日のどこで試すか。時間帯で決めておく
手順を覚えても、やる場面を決めていないと続かない。
「気づいたらやる」では、気づかない日が続く。
だから、時間帯とセットにしてしまう。
| 時間帯 | やること | 合図にするもの |
|---|---|---|
| 朝 | 起きて立ったときに、肩の位置だけ見る | 洗面所の鏡 |
| 通勤 | 歩きながら、吐く息を長くする | 改札を通ったとき |
| 会議や商談の前 | 1回だけ長く吐いてから声を出す | 席に着いた瞬間 |
| 昼過ぎ | 奥歯が触れていないか確かめる | 午後最初のパソコン操作 |
| 帰宅後 | 立った姿勢を確かめる音声を聴く | 着替えたあと |
| 寝る前 | できた場面を1行だけ書く | 枕元のメモ |
全部やらなくていい。
この6つのうち、自分の生活で確実に通る場面をひとつだけ選ぶ。
肩の力を抜く方法がうまくいかない原因の多くは、手順ではなく場面の設計にある。
毎日必ず通る場面にする。
週に3回しかない場面は選ばない。
手がふさがっていない場面にする。
運転中や作業中は避ける。
10秒で終わる場面にする。
長くすると、やらない日が出る。
習慣の話はどれも同じで、やる気ではなく時間と場所で決まる。
肩の力を抜く方法も、そこは例外ではない。
立ったまま確かめる「氣のテスト」という実験
本書でいちばん構成が変わっているのが第三章だ。
ほかの章は項目が並ぶ形だが、第三章だけは実験の手順になっている。
Audible版のトラックを順番に見ると、その並びがはっきり分かる。
図5 第三章は「確かめる」「気づく」「説明する」の順に並んでいる。
再生時間はAudible版で実測した。
この構成が示しているのは、順序そのものだと思う。
先に説明を聞くのではなく、先に自分の体で確かめる。
そのあとで、なぜそうなるのかを聞く。
肩の力を抜く方法を頭で理解しようとしてうまくいかない人は、この順番が逆になっている。
全体は81トラック、4時間56分45秒。
章見出しだけのトラックが5本あり、それを除いた本編は76本。
本編1本あたりの平均は3分53秒。
体を動かす手順が入ったトラックは3本で、合わせて8分12秒。
2026年9月時点の実測値。
数値は今後変わる可能性がある。
この「8分12秒」という数字は、商品ページのどこにも書かれていない。
けれども、いちばん行動に近い情報だと思う。
通勤の片道で終わる長さだからだ。
「固定」しようとすると、かえって安定しない
第三章のなかで、いちばん考えさせられたのがこの部分だった。
固定しようとすると安定しなくなる、という主旨の項目がある。
安定させたいとき、人は動かないようにしようとする。
足を踏ん張り、体を固める。
ところが固めた体は、横から押されると一体になって倒れる。
逆に力を抜いて立っていると、押された分だけ体のどこかが吸収する。
だから崩れない。
これは仕事の進め方にも当てはまると思う。
計画を固めすぎると、想定外が起きたときに全部が止まる。
ゆるく組んでおくと、ずれた分だけ吸収できる。
本書はこれを体の話として書いているが、読み替えられる範囲は広い。
1 ふだんの立ち方で、誰かに肩を軽く押してもらう。
2 どれくらいで崩れるかを覚えておく。
3 肩を落とし、息を長く吐いてから、もう一度立つ。
4 同じ強さで押してもらい、違いを比べる。
ひとりのときは、壁に手をついて前に体重をかけるだけでも違いが分かる。
強く押してもらう必要はない。
この実験のいいところは、答え合わせが自分の体でできることだ。
信じる必要がない。
崩れたか、崩れなかったかを見ればいい。
武道の「力を抜く」は、脱力とは違う
筆者は高校で少林寺拳法をやり、大学では柔道を専攻した。
武道の世界で「力を抜け」と言われるのは珍しいことではない。
ただ、それは「だらんとしろ」という意味ではなかった。
本書にも、力を抜くことと氣を抜くことは違う、という主旨の項目が入っている。
ここを取り違えると、肩の力を抜く方法が「やる気を下げる方法」になってしまう。
抜くのは余分な力であって、集中ではない。
「見られる」から「見る」へ。緊張の向きを変える
第四章に、「見られる」から「見る」へ、という項目がある。
本書のなかで、いちばん使える場面が具体的な考え方だと思う。
人前で緊張しているとき、意識は自分に向いている。
どう見えているか、変に思われていないか、と考えている。
その向きを反転させて、相手を見る側に回る。
図6 緊張そのものを消そうとせず、意識の向きだけを変える。
具体的には、会場に入ったら前列の人の顔を3人ぶん見る。
それだけで意識の向きは切り替わる。
本書には、緊張感を親しい友人のように迎える、という主旨の項目もある。
緊張をなくそうとしないところが、この本の一貫した立場だと思う。
人を導く側になったときの力み
本書の第五章は、リーダーや指導する立場の人に向けて書かれている。
17本のトラックで66分02秒あり、第一章に次いで長い。
ここが本書のもうひとつの柱になっている。
印象に残ったのは、人を能力で見るのではなく性質で見る、という主旨の項目だった。
能力で見ると、できるかできないかの二択になる。
性質で見ると、どう向いているかの話になる。
もうひとつ、育てる側の力みについての指摘もある。
信じて待つ、という言い方で書かれている項目だ。
待てないときというのは、たいてい自分のほうが焦っている。
つまり、育成がうまくいかない原因を相手ではなく自分の力みに置いている。
ここは管理職をやったことがある人ほど刺さると思う。
相手を能力ではなく性質で見る。
良いところを見つけ出すことを、技術ではなく愛情として扱う。
「やり方」ではなく「あり方」を整える。
本書はこれを精神論で終わらせていない。
あり方が整うと、声と佇まいが変わり、それが相手に伝わる、という流れで説明している。
手順1と手順2でやっていることが、そのまま人間関係の土台になるという構成だ。
「間」を空けると、力みは自然に消える
第四章には、「間」を大切にすると力みは自然と消えていく、という主旨の項目がある。
ここでいう「間」は、話と話のあいだの空白のことだ。
緊張しているとき、人は間を埋めようとする。
沈黙が怖いので、次の言葉を急いで足す。
その急ぎ方が、そのまま力みになる。
本書には、いったん空けると理解するゆとりが生まれる、という主旨の項目も並んでいる。
間は、相手が考えるための時間でもある。
埋めてしまうと、相手は考える余地を失う。
説明が伝わらないとき、内容ではなく間の問題であることは多いと思う。
1 ひとつ説明したら、そこで止まる。
2 止まっているあいだに、息を長く吐く。
3 相手の表情を見る。
4 相手が口を開かなければ、次に進む。
2番目が手順2そのものになっている。
間を作ることと、長く吐くことが同じ動作でできる。
ここが本書のうまいところだと思う。
第四章にはほかに、不便であることのありがたさに触れた項目や、空を見上げることを扱った項目もある。
どれも大がかりな方法ではない。
やることを増やさずに、向きだけを変える提案が並んでいる。
職場の「流れが悪い」も、同じ話だった
第二章は、体の話から少し離れて「滞り」を扱っている。
13本のトラックで47分39秒。
ここを読んで、この本が体だけの本ではないと分かった。
本書には、小さな滞りが大きな渋滞を招く、という主旨の項目がある。
さらに、「自分一人くらいは」という考えが全体の流れを止める、という指摘が続く。
渋滞の話は分かりやすい。
一台がブレーキを踏むと、後ろへ行くほど減速が大きくなる。
職場でも、一人が返事を1日遅らせると、その後ろで待っている人の分だけ遅れが積み上がる。
これも力みの話とつながっている。
個人が力むと体の動きが遅れる。
組織のなかで一人が止まると、全体の流れが遅れる。
構造が同じなので、同じ手当てが効く、という組み立てになっている。
自分のところで止まっている案件はないか。
返事を待たせている相手はいないか。
「あとでいい」と判断したものは、本当にあとでよかったか。
本書には、氣が滞ると視野が狭くなる、という主旨の項目もある。
忙しいときほど周りが見えなくなるのは、経験として分かる人が多いと思う。
だから第一歩が、肩と奥歯を確かめる10秒になる。
視野を戻すのに、そこまで大がかりなことは要らない。
先に外しておきたい勘違い3つ
この手の話は、受け取り方を間違えると逆効果になる。
先に3つ外しておく。
| よくある受け取り方 | 本書の立場 |
|---|---|
| 力を抜く=やる気を抜く | 抜くのは余分な力だけ。 集中は残す。 |
| 緊張はなくすもの | 緊張は迎えるもの。 なくそうとすると心の力みが増える。 |
| 正しい答えを探せば落ち着く | 正解を探す姿勢そのものが滞りを生む、という指摘がある。 |
3つ目が意外だった。
ちゃんとやろうとするほど硬くなる、という現象には心当たりがある人が多いと思う。
1週間で試すなら、この割り当てにする
本を読んで終わりにしないために、7日ぶんの割り当てを作った。
1日にやることはひとつだけにしてある。
図7 肩の力を抜く方法を1週間で身につけるための割り当て。
1日1つに絞ってある。
7日目のメモが効く。
やったことを覚えていないと、続けている実感が出ないからだ。
1行でいい。
時間がない人は、どこから聴けばいいか
紙で読む時間が取れない人のために、Audible版の中身を実測して整理した。
章ごとの本数と再生時間は次のとおりだった。
| 章 | 本数 | 合計 | 1本あたり |
|---|---|---|---|
| まえがき | 1 | 5分43秒 | 5分43秒 |
| 第一章 なぜ、頑張るほど「本来の力」が出せなくなるのか | 18 | 76分54秒 | 4分16秒 |
| 第二章 「滞り」を解き、「流れ」を活かす | 13 | 47分39秒 | 3分40秒 |
| 第三章 心身の調子を取り戻す「姿勢」と「呼吸」 | 15 | 48分52秒 | 3分15秒 |
| 第四章 「基本」に立ち返って、心身を整える | 11 | 45分32秒 | 4分08秒 |
| 第五章 人を導き、共に歩む | 17 | 66分02秒 | 3分53秒 |
| あとがき | 1 | 5分01秒 | 5分01秒 |
2026年9月時点でAudible版の章情報から実測。
章見出しだけのトラック5本は除いてある。
いちばん長いのが第一章で、76分54秒あった。
全体のおよそ4分の1を、「なぜ力むのか」の説明に使っている。
逆にいちばん短い本編トラックは24秒で、第三章の実験の途中に置かれている。
図8 章ごとの合計再生時間。
まえがきとあとがきは除いてある。
体で確かめたい人 第三章の実験パートから。
合計8分12秒で終わる。
なぜ力むのかを知りたい人 第一章から。
76分54秒あるので、通勤3日ぶんを見ておく。
部下や子どもへの接し方を変えたい人 第五章から。
17本で66分02秒。
とりあえず全体をつかみたい人 まえがきの5分43秒だけ。
1日1本ずつ聴くと、本編76本で76日かかる。
通勤の往復で3本ずつなら、およそ26日で1周する。
ナレーションについても書いておく。
この作品は合成音声ではなく、人が読んでいる。
最近は「デジタルボイス」と表示される作品も増えたので、そこが気になる人は安心していい。
立場別に、どの章から読むか
全部を順番に読む必要はない。
いま困っていることに近い章から入ったほうが、続きやすい。
| いまの状況 | 入る章 | 目安の時間 |
|---|---|---|
| 本番で実力が出ない | 第一章 | 76分54秒 |
| 体が固い。肩がこる | 第三章 | 48分52秒 |
| 人前で話すのが苦手 | 第四章 | 45分32秒 |
| 部下や子どもとうまくいかない | 第五章 | 66分02秒 |
| 職場の流れが悪い | 第二章 | 47分39秒 |
第三章から入るのがいちばん早いと思う。
体で変化が分かると、そのあとの説明が腑に落ちるからだ。
逆に第一章から入ると、納得はするが体は変わらないまま時間が過ぎる。
1 第三章の実験パート(8分12秒)
2 第一章(76分54秒)
3 第四章(45分32秒)
4 残りは必要になったときに
この記事の図解8点は、Illustratorと手書きのHTMLで作った。
50代から図解や動画を作れるようになると、書けることの幅が変わる。
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※上記はアフィリエイトリンクです。
小林正観さんが書いていたことと、ほぼ同じだった
読み進めていて、途中から既視感があった。
小林正観さんの本と、言っていることがかなり重なる。
筆者は昨年、Audibleで小林正観さんの本に出会って人生観が変わった。
だから余計に、重なりが目についたのだと思う。
分野はまったく違う。
藤平信一さんは武道家で、小林正観さんは文筆家だった。
それでも、たどり着いている結論が近い。
| 重なっているところ | 藤平信一 | 小林正観 |
|---|---|---|
| 頑張るほどうまくいかない | 頑張っているだけでは成果は上がらない | 力を入れず、手放す |
| 「しないように」は効かない | 「〇〇しないように」が心の力みになる | いま目の前にあることをやる |
| 信じるのではなく確かめる | 正しいことには普遍性と再現性がある | やってみて、何が起きたかを見る |
3つ目がいちばん大きいと思う。
どちらも、信じなさいとは書いていない。
自分でやって、何が変わったかを見なさい、という書き方をしている。
だから宗教の話にも精神論にもならない。
違うのは、入口だ。
藤平さんは体から入る。
姿勢を変え、呼吸を変え、その結果として心が変わるという順番になっている。
小林正観さんは言葉と行動から入る。
使う言葉を変え、やることを変えて、その結果を見るという順番だ。
どちらから入っても、行き着く先は同じところに見える。
『脱力のすすめ』と本書は、タイトルからして近い。
あちらは場面ごとの手放し方を扱っていて、こちらは体の使い方を扱っている。
両方あわせると、心と体の両側から手が入る。
つまずきやすい3つの場面
やってみると、だいたい同じところでつまずく。
先に書いておく。
「正しくやらなければ」が心の力みになっている状態。
回数を1回に減らして、うまくできたかは見ないことにする。
力みが消えたかどうかで測ろうとすると、たいてい分からない。
測るのは「気づいた回数」にする。
こちらは数えられる。
忙しい日ほど必要なのに、忙しい日ほど飛ぶ。
だから「改札を通ったとき」のように、忙しくても必ず通る場面に紐づける。
3つとも、原因は同じだと思う。
ちゃんとやろうとしすぎている。
本書の話は、ちゃんとやろうとする力みを外す話なので、そこが手段と矛盾しやすい。
7日たったら、何を見るか
1週間やったあとに確認することを決めておく。
ここを決めておかないと、続けた実感が残らない。
- 気づいた回数は増えたか
ゼロから1回でも増えていれば進んでいる。 - 気づく場所は変わったか
肩だけだったのが奥歯にも気づくようになっていれば、感度が上がっている。 - いちばん力みが出る場面はどこだったか
ここが分かると、次の週はそこだけに絞れる。 - 声の高さは変わったか
人に聞いてもらうのがいちばん早い。
4つ目は自分では分かりにくい。
家族に「最近、声どう」と聞いてみるくらいでいい。
書籍情報と入手先
『力を抜く練習 動じない自分の養い方』
著者 藤平信一(心身統一合氣道会 会長)
出版社 幻冬舎
形式 単行本/Kindle版/Audible版
Audible版 ナレーター 矢野敦史、再生時間 4時間56分
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Kindle版を見る(PR) 単行本を見る(PR)耳で聴きたい人へ
執筆時点では、Audible版は聴き放題の対象になっていた。
対象作品は入れ替わるので、リンク先で確認してほしい。
Audible版を見る(PR)※上記はアフィリエイトリンクです。
Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。
著者が会長を務める団体については、心身統一合氣道会の公式サイトに稽古の内容が載っている。
本書の背景を知りたい人は、そちらも見ておくといい。
あわせて読みたい記事
同じ「力を抜く」というテーマを、別の角度から書いた記事がある。
- 脱力のすすめの要約|1日5場面で試す「握る・任せる・手放す」と7日間の手順
小林正観さんの本から、場面ごとの手放し方をまとめた記事。 - 「1日誰とも話さない」日が続く人へ|精神科医の5ステップ39項目から、明日やる1つを選ぶ
人と話す場面が減っているときの整え方を書いた記事。
よくある質問
Q 肩の力を抜く方法は、どれくらいで効果が出ますか。
その場で変わることもあれば、変わらないこともある。
ただ「気づけたかどうか」は毎回はっきり分かるので、そこを基準にしたほうが続く。
効果を測ろうとすること自体が、心の力みになりやすい。
Q 深呼吸と何が違うのですか。
深呼吸は「大きく吸う」から始めることが多い。
本記事の手順は「長く吐く」から始める。
吸う動きは肩を持ち上げるので、力を抜く目的とは逆方向になる。
Q Kindle版やAudible版はありますか。
単行本、Kindle版、Audible版の3つがある。
Audible版は4時間56分で、執筆時点では聴き放題の対象だった。
ナレーターは矢野敦史さんで、合成音声ではない。
Q 合氣道をやっていないと分かりませんか。
武道の経験は要らない。
第三章に立って確かめる手順があるので、道具も場所も使わずに試せる。
その部分はAudible版で8分12秒だった。
Q 「氣」という言葉が出てきますが、宗教的な話ですか。
本書は、信じることではなく確かめることを求める書き方をしている。
第二章に、正しいことには普遍性と再現性がある、という主旨の項目がある。
自分の体で試して、変わったかどうかを見ればいい。
Q 肩がこって痛いときにもやっていいですか。
痛みがあるときは、まず医療機関で診てもらってほしい。
本書は治療の本ではないし、この記事も治療の効果を約束するものではない。
痛みがない状態での姿勢と呼吸の整え方として読むのがいい。
Q 1週間やっても変わりません。
変わったかどうかを、力みが消えたかで測っていないだろうか。
最初に増えるのは「気づいた回数」のほうだ。
そこが増えていれば進んでいる。
Q 紙とKindleとAudibleのどれがいいですか。
第三章に立って試す手順があるので、耳で聴けるAudible版は相性がいい。
用語を何度も見返したい人はKindle版。
書き込みながら読みたい人は単行本を選ぶといい。
本を買わなくても、今日からできる3つ
記事を読んで終わりにしないために、買わなくてもできることだけを抜き出しておく。
- 肩の位置を1回見る
いま読んでいるこの瞬間でいい。
耳に近づいていたら、上げてから落とす。 - 奥歯が触れているか確かめる
触れていたら、舌を下げて離す。 - 息を1回、長く吐く
吸うのは短く、吐くのはその倍。
1回でいい。
ここまでで20秒もかからない。
これで何か変わったなら、本書の第三章はもっと詳しい手順を持っている。
何も変わらなかったなら、それは力みが浅い層にしかなかったということかもしれない。
どちらにしても、確かめたこと自体が収穫になる。
力みには3つの層がある/自覚できない層がいちばん厄介
抜く前に気づく/確かめるのは肩と奥歯の2か所だけ
呼吸は吐くほうを長くする/吸うから始めると肩が上がる
「しないように」は動詞にならない/やることの形に言い換える
固定すると安定しない/やわらかいまま崩れないのが動じない状態
緊張は消さない/「見られる」を「見る」に切り替える
職場の滞りも同じ構造/自分のところで止めない
Audible版は4時間56分/実技だけなら8分12秒
まとめ
肩の力を抜く方法は、2つの手順に絞れる。
ひとつ目は、気づくこと。
力みは自覚できないので、肩と奥歯の2か所だけを確かめる。
ふたつ目は、吐く息を長くすること。
吸うほうから始めると、肩が上がって逆効果になる。
この2つを、緊張する場面で1回ずつやる。
力が入ったと気づいた場面で、一度だけ息を長く吐く。
回数は1回でいい。
できた日をメモに1行だけ残す。
筆者は富士ヒルクライムに2回出て、2回ともブロンズに届かなかった。
それでも、力んでいることに気づけた回数だけは増やせる。
そこは才能ではなく、続けた分だけ積み上がるところだと思う。
本記事は『力を抜く練習 動じない自分の養い方』(藤平信一/幻冬舎)を読み、筆者の言葉で要約したものです。
本文の引き写しはしていません。
Audible版の章構成と再生時間は2026年9月時点の実測値です。
この記事の写真と図解について(Adobe Stock)
写真11点はすべてAdobe Stockの無料素材
この記事に使った写真11点は、すべてAdobe Stockの無料コレクションから選んでいる。
記事を作っていて毎回思うのは、写真の質がそのまま説得力になるということだ。
同じ文章でも、選んだ1枚で読み手の受け取り方が変わる。
ただ、無料枠だけでやっていると、途中で足りなくなる。
今回でいえば、日本の職場らしい服装の素材や、狙った構図の1枚が見つからないことがあった。
そこを詰めたい人は、有料プランの範囲を見ておくと選択肢が増える。
図解8点は自分で作っている
本文の図解8点は、既製の素材ではなく自分で作った。
図に落とすと、理解の穴がすぐ見える。
今回でいうと、「気づく」と「長く吐く」を横に並べた時点で、順番を示す矢印が要ることに気づいた。
文章だけ書いていたら、順番の大事さを書き落としていたと思う。
図解は、読者のためだけでなく、書き手の検算にもなる。
50代から始めるなら、どこから手をつけるか
作りたいものによって、必要なものは変わる。
- 写真だけ必要
Adobe Stock の単体プラン。
ブログの写真をまかなうならここで足りる。 - 図解や動画まで作りたい
Creative Cloud。
IllustratorとAfter Effectsが使えるようになる。 - まずSNS用の画像から
Adobe Express。
テンプレートから始められるので、最初の1枚が早い。
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ツールを買っただけでは、何も変わらない。
筆者はWEBデザインのオンラインスクールに通って、1円も稼げなかった。
IllustratorとPhotoshopの操作は覚えたが、作りたいものを決めていなかったからだ。
先に「何を作るか」を1つ決めて、それから道具を選んだほうがいい。

